海外安全情報(広域情報):欧州でのテロ等に対する注意喚起

令和4年12月19日

【ポイント】

○欧州では、近年、単独犯によるテロや一般市民が多く集まる場所(ソフトターゲット)を標的としたテロが頻発しており、今後も引き続きテロの発生が懸念されます。
○特に、観光施設周辺、イベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、公共交通機関等の人が多く集まる場所や、宗教関連施設等では、テロが頻発しており、常に注意が必要です。
○特に、クリスマス等の宗教行事や人の移動が活発になる年末年始といった祝祭日・イベントシーズンはテロが起こる可能性が高まる傾向にあるといわれており、注意が必要です。
○常に最新情報の入手に努め、安全確保に十分注意を払ってください。

【本文】

1 欧州では、近年、単独犯によるテロや一般市民が多く集まる場所(ソフトターゲット)を標的としたテロが頻発しており、今後も引き続きテロの発生が懸念されます。
 2020年以降の新型コロナウイルスの感染拡大による社会・経済の不安定化の影響により、イスラム過激派の影響を受ける者が増える懸念があるとの見方があるほか、近年は、極右・極左過激主義思想の影響を受けたテロも発生しています。
 最近のテロ事案等の例は、下記の(参考)を御参照ください。
 
2 観光施設周辺、レストラン、ホテル、ショッピングモール、公共交通機関等の一般市民や観光客が多く訪れる場所でテロが頻発しており、常に注意が必要です。特に、スポーツ大会や音楽フェスティバル、独立記念日の祝賀行事、クリスマスマーケット等のイベント会場や、宗教施設等では、多くの人が集まり、テロの標的になる可能性があるため、警戒する必要があります。特にここ数年は、クリスマスマーケットを狙った攻撃が繰り返されています。同時に、イベント等の警備のため手薄となった他の都市等を狙ったテロが発生する可能性もあります。
 また、クリスマス等の宗教行事の時期のほか、年末年始等の人の移動が活発になる祝祭日・イベントシーズンには、一般的にテロが起こる可能性が高まる傾向にあるといわれており、注意が必要です。
 
3 テロの被害に遭う確率を減らすため、以下の対策をお願いします。
(1)「たびレジ」を活用し、最新の関連情報の入手に努める。
(2)以下の場所がテロの標的となりやすいことを十分認識する。
観光施設、観光地周辺の道路、記念日・祝祭日等のイベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、スーパーマーケット、ナイトクラブ、映画館、公共交通機関等人が多く集まる施設、宗教関連施設、政府関連施設(特に軍、警察、治安関連施設)等。
(3)上記(2)の場所を訪れる際には、周囲の状況に注意を払い、不審な人物や状況を察知したら速やかにその場を離れる、できるだけ滞在時間を短くする等の注意に加え、その場の状況に応じた安全確保に十分注意を払う。
(4)現地当局の指示があればそれに従う。特にテロに遭遇してしまった場合には、警察官等の指示をよく聞き冷静に行動するように努める。
(5)以下の一般的な留意事項に留意する。
【車両突入の場合】
●ガードレールや街灯などの遮へい物が無い歩道などでは危険が増すことを認識する。
【コンサート会場、競技場、空港等の閉鎖空間】
●会場には時間より早めに入る、終了後はある程度時間を置いてから退出するなど、人混みを避けるよう努める。
●セキュリティの確保されていない会場の外側や出入口付近は危険であり、こうした場所での人だまりや行列は避けるようにする。空港等では、人の立入りが容易な受付カウンター付近に不必要に近寄ったり長居することはせず、セキュリティ・ゲートを速やかに通過する。
●不測の事態の発生を念頭に、出入口や非常口、避難の際の経路等についてあらかじめ入念に確認する。
●パニック状態となった群衆の中で負傷するおそれがあるため、周囲がパニック状態になっても冷静さを保つように努める。
【爆弾、銃器を用いたテロに遭遇した場合】
●頑丈なものの陰に身を低くして隠れる。
●周囲を確認し、可能であれば、銃撃音等から離れるよう、速やかに、低い姿勢を保ちつつ安全なところに退避する。閉鎖空間の場合、出入口に殺到すると将棋倒しなどの二次的な被害に遭うこともあり、注意が必要。
●爆発は複数回発生する可能性があるため、爆発後に様子を見に行かない。
【刃物を用いたテロに遭遇した場合】
●犯人との距離を取る。周囲にある物を使って攻撃から身を守る。
 
4 海外渡航の際には、万一に備え、家族、友人、職場等に、日程や渡航先での連絡先を伝えておくようにしてください。
 3か月以上滞在される方は、現地在外公館が緊急時の連絡先を確認できるよう、必ず在留届を提出してください。
 3か月未満の旅行や出張などの際には、渡航先の最新の安全情報や、緊急時の現地在外公館からの連絡を受け取ることができるよう、外務省海外旅行登録「たびレジ」に登録してください。
https://www.ezairyu.mofa.go.jp/index.html
 
5 テロ・誘拐対策に関しては、以下も併せて御参照ください。
(1)パンフレット「海外へ進出する日本人・企業のための爆弾テロ対策Q&A」
(パンフレットは、https://www.anzen.mofa.go.jp/pamph/pamph_03.html に掲載。)
(2)パンフレット「海外旅行のテロ・誘拐対策」
(パンフレットは、https://www.anzen.mofa.go.jp/pamph/pamph_10.html に掲載。)
(3)ゴルゴ13の中堅・中小企業向け海外安全対策マニュアル
(マニュアルは、https://www.anzen.mofa.go.jp/anzen_info/golgo13xgaimusho.html に掲載。)
 
(参考)近年の主な欧州でのテロ事件等(以下、すべて現地時間)
【2022年】
〇ドイツ:テロ組織による政府転覆を企図したクーデター未遂事件(12月7日)
〇スペイン:計6か所へ手紙爆弾の郵送(11月下旬~12月上旬)
〇ベルギー:ブリュッセル北駅付近での刃物による警察官襲撃事件(11月10日)
〇スロバキア:白人至上主義・反ユダヤ主義を掲げる人物によるLGBTバー銃撃事件(10月12日)
〇ノルウェー:オスロ市中心部での銃撃事件(6月25日)
 
【2021年】
○英国:リバプールの病院でのタクシー爆発事件(11月14日)
○フランス:カンヌでの刃物による警察官襲撃事件(11月8日)
○英国:リーオンシーでの下院議員刺殺事件(10月15日)
○ノルウェー:コングスベルでの弓矢、刃物による通行人襲撃事件(10月13日)
○ドイツ:ビュルツブルクの商業施設での刃物による襲撃事件(6月25日)
○フランス:ランブイエの警察署での警察官刺殺事件(4月23日)
○スウェーデン:ベートランダでの斧による通行人襲撃事件(3月3日)
 
【2020年】
○スイス:ルガーノのデパートでの刃物による襲撃事件(11月24日)
○オランダ:ハーグでの銃によるサウジアラビア公館襲撃事件(11月12日)
○オーストリア:ウィーン中心部での銃撃事件(11月2日)
○フランス:ニースの教会での刃物による襲撃事件(10月29日)
○フランス:パリ近郊の中学校付近での刃物による教員殺害事件(10月16日)
○ドイツ:ドレスデンの中心部での刃物による観光客襲撃事件(10月4日)
○フランス:パリの週刊紙シャルリー・エブドの旧本社付近での刃物による襲撃事件(9月25日)
○ドイツ:ベルリンの高速道路での車両によるバイクへの衝突事件(8月18日)
○英国:レディングの公園での刃物による襲撃事件(6月20日)
○フランス:パリ近郊の路上での車両による警察官襲撃事件(4月27日)
○フランス:ロマン=シュル=イゼール中心部での刃物による襲撃事件(4月4日)
○ドイツ:フォルクスマールゼンでの謝肉祭のパレードへの車両突入事件(2月24日)
○ドイツ:ハーナウ中心部での銃撃事件(2月19日)
○英国:ロンドンの路上での刃物による襲撃事件(2月2日)
○フランス:パリ近郊の公園での刃物による襲撃事件(1月5日)
 
(問い合わせ先)
 ○外務省領事サービスセンター
  住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
  電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902、2903
 
(外務省内関係課室連絡先)
 ○領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐関連)(内線)3047
○領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連を除く)(内線)2851
 ○海外安全ホームページ:
  https://www.anzen.mofa.go.jp/ (PC版・スマートフォン版)